雨はどんどん強くなっていく
雷鳴の轟きも強く、それを揺れる馬車の中でマリオンは聞きながら眼を閉じる
はらはらと舞落ちる白い花びら
白い吐息を吐き出す幼い子供
凍えた世界でもその子がいれば、そんな世界でも暖かい気がした
最後に見たその子の顔は悲しみに満ちていた
幼心にわかっていたのかもしれない
それが最後だと
自分と同じ紫紺の瞳で真っ直ぐ見つめる唯一人の……
馬車がガタリと跳ねる
眼を開ければ瞳にかかる赤い前髪が視界に割り込む
それを見ると、豊かな深紅の髪をなびかせて嗤う女性の麗しい顔が思い浮かぶ
『行くだけでいいの……懐かしい故郷でしょう?たまには公務を忘れて……楽しんでらして』
くつくつとマリオンは可笑しげに嗤う
「行くだけで、ね……貴女の考えなどお見通しですが……」
あまりにも力が違いすぎる
馬車の窓から、暗い空を見上げて呟く
「けれど、貴女が作った歪みはいつか貴女を滅ぼしますよ?」
種はまいた……後はソレが芽吹くだけ
「?」
誰かに呼ばれた気がした
落雷のように激しく……
「マリオン!バカマリオン〜〜!!」
「ユッユリア!?」
颯爽と馬をかり、赤い頭が二つマリオンを追い掛けて来る


