「やぁ、ユリア」
金色の瞳が馬車に乗り込もうとするマリオンと立ち尽くすトーワに向けられる
「こんな夜中に……どこ行くのさ」
「実家だよ」
ユリアの胸が騒めく
トーワがきつくマリオンを睨んでいた
王族になればもといた場所には戻ってはいけなかったはずだ。それをちょっとそこまで散歩してくるよ、といった調子でマリオンは言う
「戻ったらダメじゃなかった?」
「それでも行かなくてはダメなんだ」
そこへミハエルが追い付いてきた
「ユリア様、風邪をひいてしまいます。中へ」
「ミハエルは黙って!マリオン。あなた、なんか変」
何処からか雷鳴が聞こえる
「変なんかじゃないよ。私は自分の役割はわきまえているつもりだ。だが、人の良いように動くのは趣味じゃなくてね……」
「じゃあなぜ行こうとする!?」
激しいトーワの声音にユリアは瞬く
こんなに感情を露にしたトーワは初めてみるのではないだろうか?
そっと馬車から離れ、マリオンはトーワの頭を撫でる
「私で終わらせたいんだ……すまないトーワ」
ユリアは話しについていけない
分かるのは、マリオンが何処へ行こうとしていること。そして、行ってしまえば………もう、二度と会えないのではないかということ
雷鳴が聞こえる
ユリアの胸の中で………


