六花の騎士




トーワは必死に言い募った
降りだした雨と、遠くで聞こえる雷鳴がソレを急かしているように聞こえる



「やめろ!今は危険だ」

「けど、行かなくちゃいけないんだよ」


いつもは穏やか、というかポヤポヤとした呑気者にしかみえないのに、紫紺の瞳を細めて幼児のように首をふるトーワをマリオンは静かな声で諭す


「私には何より大切なものがある。それは何にも変えられない」

「だからって!……そのためにあんたが……」



マリオンの静謐な水を思わせる瞳は揺らがない
いつもは感情を表に出さないトーワがギシッと歯を食い縛る


「アイツの思い通りになっていいのか!?」

「私はあの方の思い通りになるつもりはない………………!?」



マリオンが驚いてトーワの後ろに視線をやる
トーワも振り返ればそこにはユリアが雨に濡れて立っていた


「あのっさ……どこ、いくの?」


肩で息をしてユリアはマリオンを見つめる


マリオンは苦く微笑んだ