六花の騎士




マリオンの言った通り、夜には雨が降りだした



「気配って、ちょっとわかってきたかも」

「でしたら、雷雨になるのでしょうね」



ユリアの離宮は高い所にあり城の外を一望できる
雨雲の広がる空は昼間とは違い淀んだ色が立ち込めていた


「あれ?………マリオン?」


ネイテル城の正門にこっそりと止められた馬車
不意に見つけた赤い頭は直ぐにフードに隠されてしまった


「どこかにお出かけなのでは?」


主の言葉にミハエルも窓から見下ろす。しかし、こんな夜中に何処へ行くのか、ミハエルも訝しげに呟く
そこへ、また一つ赤い頭が馬車に近づく


「あれ、トーワじゃない?」


背格好からトーワだとユリアは思ったが、知り合って一年たってもほとんど関わりあう事はなかった(て言うか、なんかあたしのこと避けてた?)彼が必死に馬車を引き止めていた



「何かあったのでしょうか………ユリア様!?」



ミハエルが言い終わる前にユリアは走り出した



「ちょっと行ってくる!」


胸騒ぎがしたのだ
だから、雨のことなど気にせず、近道のため窓から飛び出し庭を抜けていく


ミハエルは優秀な騎士で


だから、直ぐに追い掛けて来る
心配はいらない







だが、ユリアはこの夜の事を深く後悔する……