トーワは、刃を深く突き立てられた様に、体が硬直した


「化け物!!その赤い髪は何人の血で染め上げたのかしら?アハハっ世界に必要な天使様?……なら、なんで民を殺すのよ!!」



少女は叫ぶ
悲痛なほどに


「サ、ラ……貴方……まさか」


青ざめるメノリは無意識にティアの服を強く握り締める
人質にされたサラ
しかしサラは憎悪を持ってこの場にいる
メノリの声にサラはトーワに向けた目と同じ目でメノリを見た


「ええ、そうよ……私もこの人を達の仲間よ!」


鼓動がビクッと跳ね上がる
息の仕方を忘れてしまったかの様に喉が引きつった



「私の大切な家族も家もすべて奪ったあんた達に復讐するために……私は生きてきたのよ!!」



頭が真っ白になった
私達王族が奪った?


数時間前には優しく微笑んでいてくれたサラから
今、憎悪に満ちた目で睨みつけられるほどのものを『王族』が奪ったというのか?


困惑する思考が頭を巡る
ぐちゃぐちゃになってしまいそうな心
すると、そっと暖かい手が背中を擦ってくれた