髪をつまんだのは50代ほどの恰幅のいい男だった
「ふん、まるで血で染めたような色だ」
ニヤリと男が嗤(わら)うのをうっすらと開いた瞳でトーワは見た
寒気が背中を這い昇る
男の嗤う顔に嫌悪感を覚えた
「……ボス!こいつ起きてるんじゃないですか?」
他の男が恰幅のいい男のことをボスと呼んだ
そして自分に意識がある事がばれてしまった
「なんだ……なら話しが早い」
ボスは横たわるトーワの髪をわしづかみ、乱暴に目線を合わせる
「お前は今から俺達の為に生きるんだ」
レイブンと呼ばれた男が嬉しそうに続ける
「私達はこの国を変えるんです。王族などと呼ばれる化け物になる前に、君を救って差し上げます……」
誘う様な甘い声でレイブンは言う
しかし、トーワは分からなかった
重いまぶたを精一杯開く
分からないこの大人たちの言うことが
生きろと言うのだ、俺たちの為だけに、その意味は自由などないという事ではないのか?
なのに、俺を助けると言う
矛盾に満ちた分からない言葉は、トーワを焦らせた


