最初の記憶は、暖かい家族


優しい両親、優しい周りの大人たち
しかし、紅に染まった髪のせいで訳も分からず引き離された


小さな町だった
首都、サンブリカに遠く離れた場所で生まれたトーワは、ネイテル城に入る前にそこにしばし滞在していた
サンブリカまで直ぐだと大人たちは言っていたが、大事をとってここで休むと言う事だった


「どうしてずっと、ここにいる?」


翡翠の瞳をした少年は、傍つきの兵士に聞く
5、6才だろうか、およそ30歳は歳の離れた小さな子供は敬語を使わない


使わなくてもよい立場だと、この少年は知ってるようだった


「ある方と合流してからネイテル城へ向かうそうですよ」


内心この兵士はため息をついていた
この小さな天使は頭が良すぎるようだ
可愛げないことこの上ない


「ふーん……」


少年は高い椅子に座り、膝を抱えて窓の外を見ていた