「……えっ、これ……」
さっさと踵を返したトーワの背中に声をかけた
「……やる」
その言葉だけ置いて、振り向きもしない背中にメノリは問いかける
「ちょっ、ちょっと!貴方こそ何でこんなとこにいるのよ」
足を止めたトーワは、ゆっくりと上向く
天(そら)を仰いでから、視線だけメノリに向けた
深い緑がメノリを射ぬく
「光を………探してた」
ポツリ、と月の雫と一緒に零れた様な言葉は、闇夜に消える
ふと、馬鹿なことでも言ってしまったと言うように、一つ瞬きをして歩き出した
はっとしてメノリは肩のカーディガンを掴んで、トーワの背中に言葉を投げた
「あっ…ありがと!」
一瞬立ち止まり、振り返らずに再びトーワはまた歩きだす
ヒラっと右手を軽く振って、そのままトーワの姿は中庭から消えた


