暗黒ノ世界


 流石に古いせいか、歩いているとギシギシと、木で出来た床が軋む音がする。

「いつか床に穴が空きそうだな」

 この旧校舎が建ったのは約100年前。
 今は部室棟として使われており、吹奏楽部や卓球部などは、この部室棟を使っているので割と人は来ている。

「しかしあれだな。こう暗いと、流石に不気味だな」

 不意に雄太が言った。

「今頃何言ってんだ。僕なんて、一人でトイレ行けなんて言われても、怖くて行けないね。どうしても我慢出来なかったら仕方ないけど」

 僕がそう言うと、雄太は少し間をおいて言った。

「…お前、ホラー映画は苦手か?」

「別に苦手じゃないよ。所詮は作り物だからね。でもこれはあくまで現実。幽霊だって絶対いないなんて保証はないからね、実際一人で歩けって言われても怖くて歩けないよ」

 雄太が「ふぅん」と鼻で言うと、目の前から二人の女子が速足で歩いて来た。

「よう美羽。急いでるみたいだけど、今から部活行くのか?」

 雄太が女子に話し掛けると、女子二人は立ち止まり、黒髪で腰まで届きそうな長い髪の女子、美羽が言った。

「うん。ほら、私生徒会長だから」

 榊原美羽。同じクラスの女子で生徒会長。容姿端麗。文武両道のまさに完璧で、男女問わずに人気の女子である。