「じゃ、オレ戻るから…」




そう言った時




姫はオレの胸ぐらつかんで




グイッ…



思いきり手前に引き付けた





………え?




オレの唇に



柔らかい姫の唇が重なって





姫がオレにキスをした






「………んっ」




姫はオレに強く深いキスをして




「………はぁ……」



唇を離すと



ため息がもれた





姫は




哀しそうにうつむいた




さっきまでとは



打って変わって





強い目でオレを真っ直ぐ見て





「私はもうあきらめない」





そう言って




非常階段を出て行く




ドンッ……



オレは壁によしかかり





ドキドキしてた





情けないなオレ





姫は………



あんなに強くなっていた




てっきり



メソメソ泣くと思ってたのに





姫の事………




何もわかってないなぁオレは





「……ありがとう姫」


そうだった




いつだって




オレを救ってくれるのは





姫だけなんだ………