「翠が本当に南を想っているのなら、南の幸せの邪魔はしないはずよ」
オレが姫の幸せの邪魔……
「これは翠のためでもあるんだから…」
オレの幸せは姫だ
姫がオレの全てだ
なのに………
「……おばさん……
この事は姫には言わないで下さい
姫を傷つけるならオレが許さない」
「…翠が南に手を出さないと約束するなら」
「……わかりました」
「じゃあ南には翠と同じ病院にいる事も気がついてないフリをするわ…」
……なんでだよ
なんで いつも……
こうなるんだ……
「じゃあ、翠、身体には気をつけて頑張ってね」
そう言って
電話はきれた
オレは
ケータイを握りしめて
しばらく
身動ぎ一つ取れなかった
さっきまで
つかんでた幸せが
砂のように
指の隙間から
こぼれ落ちていく……



