仕事を終えて


家に帰る



真っ暗な部屋の電気をつけて




ベッドルームに入る



片手でネクタイを緩めながら




机の上の
紙粘土の黒猫の頭をなでる




「ただいま、姫」




………って


30過ぎた男が


置物に話しかけるって



やっぱりキモいか……




姫と別れてから




すっかり
この黒猫と万年筆が
姫代わりだったからな………





…………でも



オレは
ベッドに目をやる




今朝まで



姫を抱きしめてたベッド……




可愛かったな……姫