ガタッ


私は立ち上がって


「もう戻るね……」


そう言って


部屋のドアノブに手をかけると



「姫」



みーくんが後ろから


ドアノブにかけた私の手を握る




うわ………



私の背中に



みーくんの身体がくっついて



みーくんが私の肩にアゴをのせた



「…姫はもう知ってる?」


私の耳元でささやくから



みーくんの吐息が


耳にかかって


ビクッ……と する




「……なにが?」



私が小さな声で聞くと



「…出る病室だよ…」


出る………
出るって まさか……


「ここからナースステーションに向かうまでにある病室でね……」



みーくんが低い低い声で話す



「え…出るってお化け?」



私が不安そうに聞くと



「しー。静かに」


みーくんが言う


静かに?
なんで………?



「ほら…聞こえる?」


みーくんが私に聞く

「何も聞こえないよ…」


私が言うと


「聞こえない?ヒタヒタヒタヒタ………って足音」