重たい気分で


うつむいて家のドアを開けた



「ただいま…」



「ああ、帰ってきた」


お母さんの声に

目線を少し上げると


玄関にみーくんがいた



「みーくんも今来たのよ」



いきなり過ぎて


まったく状況がつかめない



バタンっ


ドアを閉めてもう一度外に出て考える



やだ……私ってば


とうとう幻を見てるの?


寂しさで病気になっちゃったのかな?



外で考えてると


ドアが開いて


「なにやってんだ?姫」



みーくんが顔を出す


……姫って言った……


この世で私を姫って呼ぶのは、みーくんだけだ



「……みーくん」



信じられない



「南。何してるの?早く入りなさい」


お母さんの声に
みーくんと一緒に家に入る



靴を脱ぎながら
何でみーくん来たんだろう
そう考えると
手が震えた



「今日も白崎くんとデートだったの?」


あ~
お母さんっ
余計な事を言うな~


「白崎くん?」


みーくんが驚いた表情で聞く



「そうなの。南のクラスメイトで毎朝迎えに来るのよ~」



お母さんが笑顔で続ける



「男っ気のなかった南がやっと彼氏……」



「だあ~~~っ。お母さん余計な事言わないっ!」


大きな声で私はお母さんの言葉を遮り


みーくんの背中を押して



「さあっ。部屋に行こう」



階段を上った