「小夏ちゃん…ぐるじぃ…」
…あっれぇ?
私さぁ、由奈に聞きたい事あったんじゃなかったっけ?
でも、何だったか思い出せない。
ん〜…
あー、ダメだッ!全然出て来ないや。
ったくしっかりしろよな、私の頭!
すると、バタバタとこっちに走ってくる足音がした。
「俺も寂しかったぁー!」
由奈に抱きついて考えていると、秋哉が叫びながら近付いてきた。
「あ゙ぁ?」
「こ、コワッ!」
男がそんな甘ったるい声出してんじゃねーよ。
普通にキモイ。
秋哉が来て私の思考はストップ。
秋哉は両手を広げた状態で固まったままだ。
あ!もしかして…
「餌が欲しんでしょ?」
「犬じゃないって何回言えばわかる?」
秋哉は言った後、ハァとため息をついた。
そして思い出したように手をポンッとたたいて私を見た。
「あ!そうだ!ねぇ、かなりん知らない?」
「知るかバー…」
秋哉が聞いてきた事に知らないと答えようとしたが…
…知ってる。
奏斗の居場所、私知ってる。
「あー…私の…」
キーンコーン…
私が話そうとした途端、運悪く鐘が鳴って先生が教室に入ってきた。
秋哉は私の声が聞こえなかったみたいで聞き返してこなかった。
「んー、どこ行ったんだろ、かなりん」
秋哉はブツブツ言いながらそのまま自分の席に戻った。
私の家にいると言おうとしたのに先生来ちゃったからな。
…まっ、後で話せばいっか。
「小夏ちゃん、授業始まるから」
「ッあ!ごめん」
自分の腕の中にいた由奈を離して私も自分の席に座った。
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