「奏斗」
「え?太郎?」
「てめぇ…」
「…ははっ。冗談に決まってんだろ!奏斗ね」
…こいつの眼力半端ねぇーんだけど。
私は睨んでいる太郎…じゃなくて奏斗から目をそらした。
………
沈黙…
私は沈黙が耐えきれず話しかけた。
「あのさぁ…「かなり〜ん♪」
「「……」」
私が話そうとした矢先、変な言葉で遮られた。
…かなりん?
すると、校舎の方から誰か来た。
いや、あれは…
「お前っ…いつもその呼び方やめろって言ってんだろ!」
「だって、かなりんの方が可愛いもん」
「可愛いとかそういう問題じゃねーよ!」
…犬?
私の目の前に、可愛らしい耳としっぽを付けた犬が一匹。
その犬が奏斗と戯れている。
「いや、耳とかついてねーし」
奏斗に突っ込まれた。
いや、付いてますけど?
(実際付いていない)
私がじっと犬を見ていると犬が私に気付いた。
「あ!転校生ちゃんだ!」
あ、犬がしゃべった。
「犬じゃない!俺、秋哉!」
「え?秋田犬?じゃあ忠犬ハチ公じゃん!」
「あーきーや!」
「あーきーた!…犬」
「違ぁう!」


