─『○×駅〜○×駅〜』
「ん、着いた」
「ここ?」
結局付いて来ることになった奏斗と一緒に電車を降りると、懐かしい風景が目に入った。
「懐かしいっすな」
「‥‥‥」
目を細める私を無視して通り過ぎていく無神経男。
少しは私の話に付き合いやがれ、このやろう。
気を取り直して私も奏斗の隣まで急いで行くと、駅から離れ見慣れた道を歩いた。
─と、急に足を止めた奏斗。
んだよ、急に止まるな。驚いて顔を上げると、奴の目がある一点を見つめていた。
その視線を辿ると、そこにはとても広々とした大きな公園があった。
あれは‥‥
「でっけぇ公園だな。家一つ建ちそう」
あれは私と椿がよく溜まっていた場所だ。
何一つ変わっていない公園が私を妙に安心させた。
「‥さっ、行くぞ。奏斗」
歩き始めた私に奏斗は何も言わず付いてきた。


