え、私これから出かけるんですけど。
ナゼあなたも一緒に部屋から出て来てるの?
しかも昨日ジャージだったのに今は普通に私服だし。
どこから持って来た?
…あ。もしかして私が出掛けるからアンタは家に帰ると。
そういうことですか。
納得なっと…
「ほら、突っ立ってねーで早く行くぞ?電車行っちまうだろ」
「……ぇ」
一緒に行く気ですかぁぁあぁ!?
私は口をあんぐり開けて眉をひそめているヤツを見た。
「ふわぁー!早くしろよ。俺が仕方なくお前に付き合ってやんだから」
あくびをした奏斗はしれっと言った。
……。
誰も…、誰もお願いなんかしてッ
「鍵なんかかけなくていーだろーが。誰もこんなボロアパートに盗みに入んねーよ」
…あれ、何だろう。目の前が歪んで見える。
しかも同じ言葉をつい最近誰かに言われた気がする。
…ぐすん。
一応、用心でやってるんだけどな。
「小夏、落ち込んでねーで早くしろよ!」
「てめーが落ち込ませてんだろーがァア!」
いつの間にか階段の下にいた奏斗に、私は上から叫ぶと鍵をガチャガチャと締めてから下に降りた。
「結局カギしめたのかよ」
「てめ、しばくぞゴラ」
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