「でも、こんな時間にいるなんて危ねぇな。美沙、このこと両親は知っているのか?」
椿が、おいしそうに食べている美沙に問いかけた。
「……」
…どうやら、親には言ってねーみたいだな。
あれか?家出ってやつ?
黙り込んだ美沙に、椿は一つため息をつくと
「美沙、何の理由があってこんな時間に出歩いてんのか知らねーけど。でも、無断で出てくんのはよくねーと思うよ?」
椿にしては珍しく、優しく言った。
うん、私も椿の言うとおりだと思うよ。
きっと美沙の両親は心配してるはず。
「私が送ってくから、家に帰ろう?」
うまい棒を食べ終え、私は美沙に言った。
「小夏さん…。はい、分かりました。帰ります…でも、あの……」
美沙は私に顔を向けると、すぐに目を伏せ下を向いた。
…ン?
美沙がもじもじしてる。
「あの…また、会ってくれますか?」
…なんて可愛い子なんだろう。
私とは全く違う性格。
…だからかもしれない。
自分とは違う美沙だからこそ、私は無意識のうちにココに連れて来てしまったのかもしれない。
憧れ…ッていうやつだろうか?
「…当たり前だろ。な、椿」
「そーだな。学校帰りにでもココにおいで。いつでもいるからさ」
私と椿は笑いながら、「夜はダメだぞ」っと付け足し、柔らかく微笑んだ美沙に言った。
美沙、私の方が会いたいよ。
もっともっと美沙のこと知りたい。
…何かね?
美沙といると、新しいことを知れそうな気がするんだ。
新しい、自分を…
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