「がびーん!」
「あんた…遅いのね。見た目によらず」
「うっさいわ、ボケェ!」
うわぁーん!あとほんの少しの差だったのに。
ゴールした私は、息を整え地面に座った。
ブリ子も私の隣にしゃがむ。
「どこがほんの少しよ。最初だけじゃない」
私、鍛えたんだけどな。
頑張って力尽きないように特訓したのにな。
…ダメだったか。
結果は…私のか「私の勝ちよ。さぁ約束通り、奏斗くんはもらうわよ」
…ブリ子が勝った。
だってはえーんだもん、コイツ。
どこにそんな力あんだよ、的な走りだったし。
「でも、奏斗は渡さんッ!」
「あら、勝負は私の勝ちなのよ?」
「ゔッ…」
ブリ子は腕を組ながら私を睨んだ。
確かに、勝負で勝った方が奏斗をもらうっていう約束だった。
そして勝ったのが、皮肉にも、このブリブリブリ子だ。
でも…でもでも!奏斗を渡すなんて嫌だ!
「あ!奏斗くん!」
え?
ブリ子の声に顔を上げると、奏斗がコッチに歩いてきている。
奏斗…
ジャージを着た奏斗が、私たちのそばに来た。
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