「まさか小夏ちゃん走るの遅いなんてね」
「あぁ、頭を地面に叩きつけられた気分」
はぁ?これでも人並みの速さだ!
ただちょっと、ほんの少ーし遅いだけじゃねーか。
お前等が期待し過ぎなんだよ、アホゥ!
私の予想では、勝負の種目は綱引きとか、騎馬戦とかを考えてたんだよ。
(力を使う系)
あ、あと玉入れもいいかなって…
(…何系?)
短距離走なんて、何が定番だ!
定番って言った奴今すぐ出て来いやァ!
「くしゅんッ!あれ、なんか寒気が…」
「ん?秋哉、風邪?大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
あぁ、今から種目を変えたい…!
なんなら、大玉転がしでも…
「まぁ、小夏。奇跡が起きるのを願うしかないよ」
「ブリちゃんが小夏ちゃんよりも遅いことをね」
律と、何故かいきなりくしゃみをした秋哉が私の肩をポンと叩き言った。
もう覚悟しろってことか。
「でも、ブリ子。走るの得意って言った」
「「………」」
短距離走に決まったとき、ブリ子は得意って言ったんだ。
ということは、速いってことになるだろ。
私は黙り込んだ二人を見た。
「「……
…グッドラック!」」
「あ゙!お前らァ!」
律と秋哉は私に向けて親指を立てて言った後、走って逃げた。
アイツら…私の将来がかかっているというのに。
薄情な奴らめ!
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