「小夏!聞いたぞー?勝負だって?んなもん俺に任せとけ!」
私がため息をついたと同時に、律がこっちに近寄ってきた。
「は?何をお前に任せるんだよ。勝負すんのは、この私なんだぞ?」
全く、意味の分からないことを言うな。
これだからバカは困る。
「何って、特訓に決まってんだろ。色々鍛えないと負けんぞ」
特訓ねぇ。
秋哉も特訓って言ってたな。
…え、てか何の特訓!?
私、まだ出る種目決めてないんだけど。
「あれ?でもさ、体育祭で勝負って、何で勝ち負けを決めるの?全体?個人?全体だったらクラスにかかってるじゃん」
秋哉が顎に手を当て、首を傾げた。
「……」
「小夏、決めてなかったのかよ」
「……ははッ!」
そうだよな。体育祭で勝負って、¨何を¨だよな。
そこまで全然考えてなかった。
「個人にしたら?全体だと、俺らまで頑張んなくちゃいけないじゃん」
「…ぇ」
「小夏ちゃんの勝負だもんね。俺らははっきり言って関係ないよね」
…は?
…ひでぇ。
何て冷たい奴らなんだッ!
関係ないだと?
関係大有りだ、アホー!
私の将来がかかってんだぞ!お前らは私と奏斗がどーなってもいいのかッ!!
「秋哉ァ!犬耳つけんぞ、ごらァ!」
「えぇ!?つーか、何で俺だけ!?」
お前に言われると、腹が立つから。
…ただ、それだけだ。
.


