奏斗には、昨日の私の気持ちなんか分かるわけねーよ。
彼氏である奏斗には先に帰られ、つーか逃げられ、ブリ子にも帰られてさ。
下駄箱にぽつんと一人残らされた私は、しばらく放心状態だよ。
でも、教室には由奈がいた!っと思い出して、すぐに教室に戻ったんだ。
…そしたらさ、クラスにいた子がね?
『あー、由奈ならさっき帰ったよー?』
って。さっき帰ったよーって言ったんだよ。
…ねぇ、私ふつーに下駄箱から教室に向かってきたんだよ?
由奈が帰ったならさ、まぁ普通は、ふっつーはさ
……すれ違うはずじゃないですか?
だけど私は由奈に会わず教室に戻ってきた。
何で私と由奈、すれ違わなかったんだ?
明らかおかしいだろッ!!
何でだよォッ!!
「知るかよ、んなもん」
だからその後、仕方なく寂しく一人で帰ったわけよ。
誰かさんが先に帰ったから。
私は奏斗を睨んだ。
「…はぁ。悪かったって」
そう言って奏斗はため息をついた後、私に手のひらを向けた。
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