ブリ子は、私のクラスの下駄箱の前に突っ立っていた。
一点を見ていて、私の存在に気付いていない。
…何してんだ?
私が近付くと、ブリ子は気付いて振り向いた。
「…あー、コタツ」
「何してんの?」
ブリ子は私を見て深いため息をついた。
…人の顔見てため息つくのやめて下さい。
私のガラスのハートが傷つきますから。
ブリ子はそんな私を無視して話を続けた。
「奏斗くん、もう帰っちゃったのよ。今日は一緒に帰ろうと思ったのに」
ブリ子は奏斗の靴を指差し、それが上履きなのを見せた。
…っーかまだ、一緒に帰ろうとか思ってたわけ?
あきらめが悪いって、こーゆう奴を言うんだ。
奏斗、帰るのだけは早いからな。
一緒に帰るなんてムリムリ!
それに…
「まぁ、それだけブリ子と帰りたくなかったんじゃん?」
私はハハーと笑って言った。
ブリ子と帰りたくなかったから逃げたんだよ、アイツ。
「それだったら、あんたとも帰りたくなかったってことでしょ!」
「……」
…くそッ!!!!
奏斗のヤロー、そうゆうことかッ!
この私とも帰りたくないなんて…
明日、覚えてろよ…!
(奏斗、ご愁傷様)
「いいわもう、私も帰る」
「……」
ブリ子はそのまま靴をはきかえると帰って行った。
…何、あの悲劇のヒロイン的な振る舞い。
っーか、私を一人にするなァ!!
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