「たださ、最近あの女が色々とつきまとってるみたいじゃん?奏斗に」
律は苦笑しながら、秋哉を殴っている奏斗を見て言った。
…律もあの女を知っている。
いや、クラスの人で知らない人はいないかも。
それほど、奏斗につきまとっている女として有名なんだよ。
私という彼女がいると知っていながらも、奏斗に近付く嫌な女。
…ぜってぇ、負けねぇ。
「おーい?小夏ー?戻ってこーい!」
……
「…んあ?…あ、悪い悪い!」
つい律の存在も忘れて、自分の中に入っちまった。
けど、今日という今日はこうガツンと言ってやるんだッ!
覚悟しとけ、あの女…!
私はそう心に決め、勢いよく立ち上がり屋上を出ようとした。
「俺も行く」
後ろから奏斗の声がし振り向くと、あくびをしながら近付いてきた。
あれ、もうじゃれ合いは終了?
後ろの方で秋哉が伸びている。
「秋哉、置いてくよ」
律は気絶している秋哉の襟を掴むと、そのまま引きずった。
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