「もう!何で俺に犬の格好をさせるわけ?俺は犬じゃないって何度言ったら分かるんだ!」
「「……」」
突然の声に、奏斗がピタッと止まった。
あと数センチ、いや、数ミリっていたとこか。
突然ドアが開いた。
ドアの前には、頭に愛らしいフサフサの耳をつけ、これまた頬ずりしたくなるシッポまで付けた犬が。
こう見ると、ホントの犬に見えるな。
犬の格好をした秋哉は一人でブツブツ何かを言っている。
「……ハッ!」
今がチャンス!
私は奏斗の手が緩んだすきに離れた。
「……チッ」
奏斗はドアを見て舌打ちをした。
うわっ!めっちゃ睨んでる。
秋哉、ご愁傷様。
(早い)
「もう本当ヤダ。ってあれ?かなりんに小夏ちゃん!………何してんの?」
秋哉はようやく私たちに気付いたみたいで、頭につけた耳を外しながら言った。
「秋哉。てめぇ、殺す」
「へ?何?何で?」
奏斗に睨まれ、秋哉は訳が分からないといった顔をして目を見開いている。
それでも危険を察知したのか、秋哉は逃げようとした。
が、奏斗に腕をガシッと掴まれ、そのままねじ伏せられた。
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