ったく、奏斗がいないと劇になんねーのに!


しかも一回も練習に出てないから、今から覚えないと間に合わないのにさ。



アイツ、一体どこに逃げやがった!!





「小夏!いた?」



前方から律が私たちの前まで走ってくると、息を整えて言った。


「いや、屋上にもいなかった」



あ゙ー!早く見つけないと劇が始まっちゃう!


リハーサルのない裏方の私たち三人が奏斗を探し中。


今、奏斗がいそうな屋上を秋哉と見てきたけど誰もいなかった。


「中庭も屋上も教室にもいない。…あとはどこだ?奏斗の行きそうなとこ」


一番いそうな中庭を最初に行ったけど、文化祭の準備をしてて奏斗はいなかった。


屋上にもいないとなったらアイツはどこにいんだ?


「んー、もしかすると…」



律が頭に人差し指をあてながら考えている。


「あ!保健室かも!」



…え。保健室?


「寝れるからね、ベッドで」



…そこだ!そこで絶対寝てる。


「じゃあ律と小夏ちゃんで行ってきて。俺、体育館に行ってるから」


秋哉の言葉に私は頷き、律と二人で保健室に向かった。



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