「あっ、あー…」
私は立ち上がり喉の調子を確かめると、大きく息を吸った。
そして準備が整い、今から歌おうとしたとき…
「お〜い!」
「ゲホゲホッ!!」
「ん?」
歌おうとした時、木を持ったまま大声で叫ぶ律がこっちに来た。
…律、テメッざけんなァ!
人が今から、まさに今から歌おうとしてたのに、それを邪魔すんじゃねェエーッ!!
「木、持ってきたって…え?小夏?何で睨むんだよ」
律は持ってきた木を秋哉に渡すと、キョトンとした顔で聞いてきた。
…てめぇのせいで今の準備時間が無駄になったじゃねーか!
時間を返せッ!
私は無言で睨んだまま元の場所に座った。
律はまだ訳が分からんという顔をしていたが、すぐに秋哉の隣に腰を下ろして作業を始めた。
ッチ。私も作業を再開すっか。
「小夏ちゃん。歌は?」
秋哉は座ってしまった私に目を向け、怒ったようにさらに頬を膨らまして言った。
「はぁ?ふざけてねーで早くやれよ」
…ったく、真面目に作業しろっての。
「…小夏ちゃん、冷たい」
.


