「そーいや、かなりんは?」
秋哉はキョロキョロと奏斗の姿を探した。
「あ、引くとこ発見!」
律が教壇を指差して言った。
ちょうど奏斗は前に出ていて、箱から紙を引いているところだった。
引いた後、紙を開き自分で確認している。
…目が大きく見開いたのは気のせいだろうか。
そして、そのまま私たちの間を通り過ぎようとした。
「まてぇーい!かなりん、何だったの?」
秋哉は奏斗の前に両手を広げて立ち、通れないようにした。
「…俺は文化祭には出ねぇ」
…ん?なんか様子、変じゃない?
もしかして
「まさか奏斗、舞台にあがる人?」
─ギクッ
見逃さなかったぞ。
私が聞いたとき、奏斗の肩がビクッと上がったのを。
「いや…」
「「「見せろォオ!」」」
律と秋哉が奏斗を押さえ込み、その隙に私は奏斗から紙を奪い取った。
「何なに?……ブッ!」
「んー?何だよって、ゲッ!」
「何なの?…うおッ!」
私たち三人は、紙を見て固まった。
最後に、由奈が紙を覗き込むと
「あ、王子だ」
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