「あのね、その時律くんが…」
「うん?」
私はゴクリと息を呑んだ。
その時に律が何か言ったなんて知らない。
私は由奈の次の言葉を待った。
「『小夏は今頃、奏斗とラブラブしてるから呼んできまーす!』って言って出て行ったの」
「……」
「その瞬間、クラスがシーンってなっちゃって。でもその後、みんな拍手して『おめでとー!』って言ってたよ?」
由奈はニコッと笑って言った。
私は由奈に軽く微笑むと、すぐに後ろを見て律を睨んだ。
私に気付いた律は私を見ないようにそっぽを向くと、口笛を吹いた。
アイツ…!さっきそんな事言わなかったじゃねーか!
わざと言わなかったな…!
「さぁ皆さん、気を取り直して文化祭の出し物決めますよ」
近藤はパンパンと手を叩くと、学級委員を前に呼んだ。
けど、顔がまだ笑っている。
オメェが気を取り直せッ!
「え〜、では何がやりたいですか?」
学級委員はコホンッと咳き込み、みんなに尋ねた。
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