何で律のおかげな訳?


「俺がいなかったら二人は付き合ってなかったんだからなッ!」



律は前のめりになって吠えてる。


「…へぇ」


「本当だぞ!」



私の返事に納得しない顔をして言った。



…なんか段々めんどくさくなってきた。



「はいはい。分かったから…黙れ」



私は律を睨み、背を向けるとパンを頬張った。


それでも、律はまだ何かブツブツと言っている。


…しつこい奴め。





すると、寝ていたはずの奏斗が私に近寄ってきた。


…ん?何だ?


驚いている私の目の前に座ると、ジッと私を見た。

そしてその視線は私の口元で止まった。



「……」


「……」



…コイツ、私のパンを狙ってるだろ。


「…腹減った」


「…へぇ?」


このパンは私のだ。

いくら奏斗でも渡すわけにはいかないッ!


私が目を逸らすと、奏斗はフッと笑った。




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