「涙目って、反則だろそれ…」

「え、」


祐太がぼそっと呟いた言葉は、ちゃんと聞き取れなかった。


でも、祐太が目を見開いたのはほんの一瞬で、すぐに微笑んだ。


「まりあ、それ、何でバレンタインの前に言ってくれなかったの?」

「え…?」

「俺さーちょっと期待してたんだよ?まりあに『私以外の女の子からもらわないで』って言われるの」

「そ、そんなの、束縛っぽいじゃん!」

「何今になって遠慮してんの?幼なじみの頃は、そんなことしなかったのに」

「う…」


笑顔で真実をズバズバ言う祐太に、言い返せなくなってしまった。
すると、祐太がまた口を開く。


「それにね、」

「うん…」

「すきな子からの束縛は、嬉しいもんなの」

「…」




ずるいですお兄さん。

なんでそんな嬉しいこと、言うんですか。