「まりあ、アレはさすがに祐太くんダメだと思うよ?」

「…え、」

「怒っても良いと思う、って言ってるの」


帆波にしては優しい言葉だ、と少し驚いていると、私たち2人は声をかけられた。


「帆波、まりあちゃん」


私たちを名前で呼んだのは、帆波の彼氏で祐太の親友の雅紀くん。その後ろには、同じく祐太と仲の良い拓海くんがいた。

拓海くんは、祐太の方を見ながら少し苦笑している。


「雅紀と拓海くん。…ねぇ、ちょっと2人で祐太くんのこと、止められないわけ?」

「うーん…」


怒ったような顔つきで、何も悪くない2人に食ってかかる帆波を見て、なんだか申し訳ない気持ちになる。


「バレンタインの女の子のパワーはすごいからなぁ…」

「それにさ――」


雅紀くんが頭を抱えていると、拓海くんが私に微笑みながら話しかけてくれる。


「祐太がなんも考えないで、あんなことするデリカシーがない男じゃないことは、まりあちゃんが一番分かってるでしょ?」

「うん…」

「じゃ、信じてあげて。祐太、何か考えがあってあんなことになってるんだと思うから」


拓海くんの優しい言葉に、ちょっと涙が出そうになったけど、なんとかこらえて頷いた。