「あれは確実に10コはもらってるね…」

「……」


親友である帆波の言葉を聞いて、私は目を閉じて口に手をあてた。
少しでも口を開いてしまうと、今にも叫び出してしまいそう。




今日は2月14日。
土曜日も授業があるうちの学校は、バレンタインだし土曜日だしということで、かなり浮き足立った雰囲気である。

そこに、人一倍浮かれた様子の男子生徒がいた。




「祐太くん!はい、あげる!」

「ありがとー」


群がる女の子の中心で、柔らかい微笑みを向けながら、贈られるチョコレートらしき可愛い包みを受け取る彼。

正真正銘私の彼氏・祐太である。