見てたんでしょ?
見てたなら何か言ってよ……
とてつもなく重苦しい空気が、2人を包んでいく。
足音だけが虚しく響いていた。
家の入口の門に着いたとき、耐えきれなくなったあたしは口を開いた。
「車から降りるの見てたんでしょ?」
「えぇ」
「誰とか聞かないの?」
「わたくしが立ち入ることではないですから」
突き放す言い方に、血が逆流する。
ヤケになったあたしは、自分で自分を制御出来なかった。
「パパの会社の人なの!優しくて面白くて気が利いて……オマケにあたしを好きみたいだし」
一気に言葉を並べ絢斗を見ると、真っ直ぐにあたしの方を見据えていた。
ゆっくりと動きだす絢斗の唇に、視線が釘付けになる。
