ゆっくりと開けた瞼に光が射し込み、もう朝だとあたしに教えてくれた。
熱によるつらさも、ある程度落ち着いていた。
あたし夢を見てた……
あれは5年前のあたしたち。
現実に引き戻され、寝たままの瞳から横へと涙がこぼれ落ち、枕を濡らす。
ベッドの右側に少し重みを感じて、涙を拭いながら身体を起こした。
絢斗───…
そこにはベッドにうつ伏せになって、スヤスヤと眠る絢斗がいた。
一晩中あたしを看病してくれてたの…?
手を伸ばし柔らかい髪にそっと触れると、さっきの夢がよみがえって涙が込み上げる。
何で今頃、あんな夢を見るの……?
無邪気に過ごしてた頃が、懐かしくて切なくて……
「絢斗…好き……」
思わず声に出した溢れる想いは、寂しく儚く消え去った。