「オレ今から無責任なこと言うよ?
……家のこととか立場とか、気にすんな!葵衣自身が好きだって思ってんだったら、周りの声に惑わされんなよ」
「仁……」
「辛いときは頼れよ。オレは話し聞いてやるしか出来ないけど、居ないよりはマシだろ?」
仁の言葉の1つ1つに、胸の中にあったわだかまりが溶け出していく。
「バカ!泣くなよ。オレが泣かしてるみたいで、恥ずかしいじゃん」
「そうだね、ゴメン」
仁はテーブルに置いてある紙のナプキンを一枚とって、泣き笑いになったあたしに手渡した。
ありがとう、仁。
言われて気づくことってあるんだね……
あたしはやっぱり絢斗が好きだから
誰に何を言われても……
この時に、なんだかいろんな迷いがふっ切れたような気がした。