「あぁ〜いるんだ?」 「まぁ…な」 「誰?!誰なの?」 「オレの事はいいだろ。また今度な! 葵衣の話を聞くために、店に入ったんじゃん」 「そうだよね……」 真剣に聞こうとしてくれてる仁の目を、まっすぐに見据えた。 「好きになっても報われないような恋は、しないほうがいいのかな…」 「葵衣……?」 「あたしさ、執事に恋してんの。バカでしょ?」 「……こないだ会った、アイツか?」 あたしは自嘲気味に微笑みながら、頷いた。