「待って、葵衣様」



広い中庭で追いかけっこをしていたあたし達。



突然立ち止まったあたしに、絢斗も驚いて急ブレーキ。



「絢斗、何度も言ってるでしょ?その葵衣様って止めてっ!!」



「でも…」



「神影に怒られるの?
あたしが言っとくから、葵衣って呼んで。友達でしょ?」



「はい…分かりました」



「それもダメ!そんなの友達じゃないよ」



諦めたように絢斗は笑った。



「分かったよ、葵衣」




満足気に頷いたあたしに、絢斗も大きな口を開けて笑った。