千嘉さんの目がすわって、声が少し低くなる。




「おまけに金持ちってだけで、絢斗みたいな完璧執事が何でもしてくれて甘やかされるって、優越感にひたれて気持ちいいでしょ?」



「そんな…優越感だなんて、そんなこと思ってません!!」





すると、今度は挑発的な上目遣いであたしを見た。




「あたしは絢斗が好きなの。あなたにはハッキリと言っておきたくて。
絢斗が葵衣ちゃんに優しくするのは、学費やこの家に対する恩返しのためだから」




「なんであたしにそんな事、言うんですか…?」




「こないだバーでの様子を見たときにすぐに分かったから。葵衣ちゃんが絢斗を好きってこと…」




ドクンと胸の音が自分の中で、大きくこだました。