「あっ、葵衣様?!どちらへ行かれるんですか?」
「今日はあたしにつき合ってもらうから」
「でも今日は、家庭教師の日なんですが…」
「たまには課外授業ってことでいいじゃない」
「しかし……」
いつも澄ましてた絢斗の困った表情に、思わずイジメ心に火がついた。
「あたしの執事でしょ?
心配ならついてきて!パパと神影には、あたしが言うから」
「仕方ありませんね……分かりました。どちらへ?」
「やった!まずは服買いにいきたいんだ」
どさくさ紛れに、絢斗の腕に自分の腕を絡めた。
「葵衣様?!」
すぐにあたしの腕をバッと引き離す。
「そういうこと、なさらないで下さい」
顔を赤くする絢斗に、笑いがもれた。
