「えっ?絢斗さんが学校に来るの?!」
「もう来てると思う」
放課後になりカバンに荷物を入れながらも、顔がニヤけちゃう。
きっと絢斗はあたしの突然の変化に、戸惑ってると思うけどね。
「お前の執事、来てんの?朱里がそんだけ騒ぐんだから、オレも一度は見とかないとな」
そんな仁と朱里と一緒に校門前へ向かうと、帰る生徒たちの視線がある場所へと集中していた。
「あれ誰?」とか
「超カッコいいんだけど」
とか、そんな声が飛び交う先には絢斗が立っていた。
ひときわ目立つオーラを放っている。
さらっと着こなしたパーカーにジーンズが、何故かおしゃれに見えちゃうのが不思議。
あたしを見つけた絢斗が、微笑んで一礼する。
「ちょっ、絢斗!ここでそれは止めてよ」
照れながら絢斗に駆け寄った。
これが“執事”じゃなくて“彼氏”だったらいいんだけど…
「朱里様、こんにちは」
「絢斗さん、昨日はごめんなさい」
「いいえ、お気になさらずに」
絢斗の視線が隣の仁に移った。