“自覚を持ってください”って何よ……
こんなにも彼の行動や言葉に一喜一憂する自分に、今すごく動揺している。
「…い……ねぇ、葵衣」
「あっ…ゴメン、何?」
タクシーの中でボーッとしていたあたしに、朱里が呟くように言った。
「やっぱり…葵衣は絢斗さんが好きなんじゃない?」
好き……?!
絢斗を?
「葵衣は男として絢斗さんを見てるよ…自分で気づいてないの?」
「違う!幼なじみとして…」
「違わない!!認めなよ。辛いかもしれないけど、否定しなくてもいいじゃん…ね?」
あたしを覗き込んだ朱里の柔らかい笑顔に、見て見ない振りしてきた気持ちが溢れだした。
