「絢斗には関係ないでしょ?!」
「関係あります!!」
強く言われドキッとする。
「どうせ執事としてでしょ?」
「他に何があるんです…?」
確かに今の絢斗とあたしは、それでしか繋がってないのかもしれない。
だけど、そんな言い方って……
「葵衣様が出入りするような場所じゃありません。
もう少し自覚を持ってください」
そこへ朱里が駆け寄ってきた。
「絢斗さん、お釣り…」
そのとき絢斗が道路に向かって手を挙げると、走ってきたタクシーがスーッと止まった。
「そのお金で帰れると思いますから、朱里様も一緒に乗ってください」
有無を言わさないような口調に、タクシーに素直に乗った。
ドアが閉まってガラス越しに見た絢斗は、眉間にシワを寄せ苦しそうな表情だった。
その姿がなんだか哀しくて、すぐに絢斗から目線を外した。
