「ホントに行くの?」
焦った感じでついてきた朱里が、あたしの後ろで小さくなってる。
「私服なんだし、大丈夫だって」
…なんて言いながらも、あたしも緊張で手が少し震える。
もちろんこんな場所に、今まで縁はない。
様子を伺うように店の中に足を踏み入れると、カウンターの中にいる男の人が爽やかな笑顔で「いらっしゃい」と言った。
照明は薄暗いけれど、思ったよりカジュアルな雰囲気によってホッと胸を撫で下ろした。
そっと店内を見渡すと、奥のテーブルに4人は座っていた。
あたしたちは、なるべく絢斗たちから見えないような場所のカウンターに腰かけた。
