「もういらない!食欲ないから…1人にして」
ほとんど口をつけなかった、豪華な数々の料理。
喜代美さんじゃなく、絢斗が作ったものだった。
「かしこまりました」
重い重い沈黙の中、絢斗が食器を片付けるカチャカチャという音だけが響く。
八つ当たり……まさにそれ。
パパやママが忙しくていない分、たまに食べる絢斗と一緒の食事がどれだけ嬉しかったか……
それなのに今は、隣に立ってる絢斗の横で黙々と1人で食べるだけ。
なんの味も感じないよ……
絢斗はいったい何のために執事になったの?
あたしだけが感情的になってるの?
もう……
“葵衣”って呼んでくれないの…?
