────────
────…



嘘だよね?

あたしの執事になるなんて……



絢斗があたしの専属執事宣言した夜、まだ半信半疑でモヤモヤした気持ちのままベッドにもぐり込んだ。



しばらく眠れずにいたけれど、考えることにも疲れ果て、いつの間にか深い眠りについていた。





「………ま」



ん?誰か呼んでる…?




「…葵衣様」



えっ?!絢斗?


その声にガバッと起きると、すぐ隣に絢斗が立っていた。




シャツにベストをビシッと着こなし、あたしに向かって腰から折り曲げるように頭を下げた。




「おはようございます、葵衣様」



「あや…と?冗談止めてよ」



それでもやっぱりからかわれてるんだと思ったあたしが半笑いで聞いても、1ミリも表情を崩さなかった。




「朝食の準備が整っておりますので、下でお待ちしております」



きびすを返し、立ち去ろうとした絢斗の左腕をとっさに掴んだ。




「待ってよ!何で?嘘でしょ?
あたし嫌だよ…絢斗が執事なんてっ」



さらにギュッと力の入ったあたしの腕を絢斗の右手が掴み、ゆっくりと離した。