「絢斗は、まだ終わってないんじゃないか?」 「いいの、待ってるから」 照れを隠すように、プイッとそっぽを向いた。 「お嬢様、どうなされたんですか?」 話しかけてきたのは、神影だった。 「絢斗を迎えに来たんだと」 パパがそう言うと、神影が頭を下げた。 「お嬢様をお待たせして、申し訳ありません」 「止めてよ、神影。そういうの無しだって言ったじゃない」 あたしの言葉に、神影は「そうでしたね」と笑いながら頭を上げた。