「確かに春日部ってヤツはサイテーだよ。けど、あの執事のことは子供の頃から見てんだろ?」 コクンと小さく頷くと、仁はあたしの頭に優しく手を置いた。 「なら、気持ち伝えるだけでもいいじゃん。 このままじゃ、葵衣が前に進めねぇだろ?」 それを聞いた朱里が、感心したように言った。 「仁ってば、カッコいいこと言うじゃん! そうだよ。絢斗さんはいい加減な人じゃないから、きちんと葵衣の気持ちを受け止めてくれるよ」 「あたし……気持ち伝えていいのかな…?」 そんなあたしに、2人は満面の笑みを向けた。