「申し訳ありません……深い意味はないんです。ただ、父から離れて自分を見つめ直したいんです。葵衣様、どうかご理解下さい」
何も言えなくなったあたしを心配そうに見つめる絢斗に、溢れだしそうになる涙をこらえるのが精一杯だった。
ここまで言われて、それでもすがりつくほどの権利はあたしにはない気がしたの……
大学が決まるなんて、あっという間の話。
そしたら、絢斗は居なくなる……
これでツラい想いしなくていいじゃない……なんて強がってみても、離れていけばいくほど
絢斗への想いが募っていく……
『好き』って言ってしまいたいのに、あたしから遠ざかっていく絢斗にもう気持ちを押しつける気力も残ってない。
それにこれ以上
絢斗の苦しそうな顔は見たくないから……